ローズマリークリーム

以前から気になっていたローズマリーのハーブを使った軟膏(ローズマリークリーム)を作ってみました。

インターネットでこのローズマリークリームの作り方は沢山載っていて、ずっと作ってみたいと思っていました。ローズマリーの成分の1つであるウルソール酸を抽出して作るというものなのですが、このウルソール酸は紫外線で壊れた皮膚のコラーゲン繊維を改善させる効果があることが知られており、シワ改善などの効果が期待できるため化粧品などに使われています。

ただ、このローズマリークリームの作り方は私はインターネットで作った方のレポートしか見たことがなく、他に本などで作り方を紹介しているものを知りません。そんなにハーブ関係の資料をたくさん見たわけではないのであるのかもしれませんが・・・。作り方もインターネットで多くの方がやっているように作っただけですので、正直もう少し確実な情報が欲しいなと感じながら作りました。

絶版になっている「ホリスティックハーブ医学」デビット・ホフマン著では、ワセリンのハーブ軟膏の作り方が書いてあります。少し作り方が違いますが、ワセリンは扱いが簡単なので有機的なものではないにせよ皮膚に吸収されないという点で使いやすいという記述がありました。ほかにもワセリン以外のベースとしてラード、アーモンドオイル、オリーブオイル、小麦胚芽油等に、堅さ与えるために白ロウ、ココアバター、ミツロウ、ラノリン等を組み合わせて用いることができる・・・という説明でした。以上を踏まえ、ローズマリークリームを作りたいと思った方は、ご自分の責任の範囲内でお作りになるようにお願いします。

肌が弱く、オリーブオイルの手作り石鹸を使っている姉からの度重なるリクエストもあって、やっと重い腰を上げて6月1日にローズマリーのティンクチャーを作り、2週間経った本日クリームを作ったというわけです。

 

①ローズマリーのティンクチャー作り

フレッシュのローズマリーを無水エタノールに浸けこんで2週間抽出します。ガラス瓶は煮沸消毒してから使用しています。量は適当です。お庭にローズマリーが沢山あるので採ってきて、少し枝の太い部分は取り除き、瓶に詰めすぎずに8分目くらい入れました。そこに無水エタノールをローズマリーがしっかり被るくらい注ぎ、常温で2週間保存します。時々瓶を振ってあげます。

なぜ無水エタノールなのかというとアルコール度数の問題の様ですが、通常のハーブティンクチャーを作る場合、ウォッカを使ったりするのですが、この度数ではローズマリーの中のウルソール酸が抽出されないそうです。(無水エタノールとアルコール度数に関してはこちも参考になさってください)

試しに一緒にウォッカ(アルコール度数40%)のティンクチャーも作ってみたのですが、色が全然違います。無水エタノールの方は濃い緑色になるのですが、ウォッカでは透明な茶色という感じ。

2週間経って、ローズマリーのハーブをコーヒーフィルターやキッチンペーパーを使って濾し、ティンクチャーの完成です。上の写真では右の瓶が無水エタノールで抽出したティンクチャー、左がウォッカで抽出したものです。右のティンクチャーは黒く見えますが、とても濃い緑色をしています。

 

②白色ワセリンでクリームを作ります

クリームを作るには「白色ワセリン」がいいと色々な”作りました”サイトに載っているので、まずは白色ワセリンで作ってみることに。

ビーカーに大さじ1くらいのローズマリーティンクチャーと、同じ量のワセリンを加え、湯せんにかけます。ごく弱火でゆっくり湯煎し、ティンクチャーのアルコールを飛ばしていきます。ローズマリーティンクチャーとワセリンは分離しているのですが、湯せんを続けているとティンクチャーの液体がだんだん少なくなり、最終的にワセリンに馴染んでいきました。

一番気になったのが、無水エタノールを湯煎にかけるという事。無水エタノールが高温になると揚げ油のように火がついたりしないのか??インターネットでローズマリークリームを作っている記事に着火や引火したなどという話はないので、大丈夫かとは思いましたが、少し調べると消防関係のサイトで消毒用エタノールを湯煎にかけて実験しているものがあり、それによると近くに火がある場合、26度でも引火するので夏場は注意が必要、と書いてありました。

その消防サイトの場合、消毒用エタノールに浮かべたフローティングキャンドルに火を点けた状態で温度を上げていっているので、引火はかなりしやすい状態です。無水エタノールは揮発が早いので、無水エタノール自体に火を点けなくてもその近くにはエタノールの成分が揮発しているので引火する危険が高く注意が必要です。”火を近づけない”という事さえ気を付ければこの作り方で大丈夫なのかなというのが調べてみての感想です。

なので湯煎は『弱火でゆっくり』『しっかり換気』が原則です。心配な場合は、お湯を温めて火を止めてお湯の熱でゆっくり湯煎するのが安全なのかとも思います。時間はとてもかかるでしょうね・・・。

そんな事を気にしながらも出来上がったローズマリークリームはツヤがあり滑らかで半透明な緑色の軟膏です。(写真右)

③ミツロウでも作ってみました

作り終わって、結局ティンクチャーのアルコールを飛ばして成分を残し、ワセリンで混ぜるのならミツロウ&ホホバオイルでも同じものができるのでは?と考え、作ってみることに。

同じ工程で作っても良かったのですが、こちらはビーカーに大さじ1杯のローズマリーティンクチャーを入れ、ティンクチャーのみを弱火で湯煎にかけ、ある程度アルコールを飛ばして量を少なくしてみました。半分くらいの量になったところで、ミツロウ2g、ホホバオイル10mlを加えてそのまま湯煎にかけます。

だんだん分離していたティンクチャーが少量になってきて、完全とはいかないもののミツロウ&ホホバオイルと混ざったのでその後容器に入れ、せっかくなのでローズマリーの精油も1滴加えて出来上がりとしました。(精油は熱で揮発してしまうので、ティンクチャーに精油成分が入っていたとしても湯煎にかけてしまうので香りが飛んでいると思ったため精油を加えてみました)

出来上がりの見た目は、ワセリンよりも色にムラがありましたが、みつろう独特の甘い香りもミックスされていい感じです(写真左)。ワセリンの方が透明感と滑らかさがあるので、これは好みで使い分ければいいのかなと思いました。

香りはやはり精油を加えたミツロウクリームの方がローズマリーの香りは強く、ティンクチャーのみで作ったワセリンクリームはかすかに香るくらいでした。

どの程度お肌に良いかわかりませんが、ローズマリーというとハンガリーウォーターの逸話もあるように、肌の若返りや関節の痛み、髪の毛や地肌の活性化というような年齢を重ねるごとに出てくる悩みにとてもよいハーブであることは確かなので、楽しんで使っていこうと思います。

実際に肌につけた感想は、ワセリンの方はワセリン独特のベタベタ感が気になりましたが、少量を優しく肌に馴染ませるとベタつきがなくなったので、慣れれば気にならないのかも。ミツロウの方が普段使い慣れているのでワセリンよりも使いやすいと感じました。

話題のハーブアイテムを作ってみましたが、そのおかげでアルコール度数が違うハーブティンクチャーを作って抽出の違いが分かったり、エタノールを湯煎にする時の注意点など気づく事も多く、思いがけずとても勉強になりました。

 

<追記>

ミツロウとローズマリーティンクチャーを使ったローズマリークリームですが、数か月後に成分が分離してべチャっとしてしまいました。温度なのか経過日数なのかわかりません。作った後は早めに使用したほうがよさそうです。

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